量子ビット数だけでは語れない量子コンピュータの力
量子・スーパーコンピュータ・GPUサーバー・知能ロボット系の演算常識を超える

量子コンピュータのニュースでは、「何量子ビットを達成した」「将来は何万、何百万量子ビットへ」という数字が強調されます。しかし、量子コンピュータの能力は、本当に物理量子ビットの数だけで決まるのでしょうか。本研究で構築する Nakashima Higher-Order Execution Geometry(NHOEG) は、この問いを新しい角度から捉える枠組みです。
NHOEGでは、物理量子ビット(physical carriers)と、その上で形成される実行役割(execution roles)、高次関係(higher-order relations)、物理的に成立する実行構造(physically admissible execution structures)、さらに量子誤り訂正後にも生き残る計算上の区別(fault-tolerantly surviving computational distinctions)を分離して扱います。つまり、物理量子ビット数と、そこから取り出せる「実行可能性」は同じではないという立場です。
105個の物理量子ビットを持つ基盤に対し、第一世代NHOEGでは意図的に単純化した構成を用いて、約8,256万の raw EXEC candidates(実行構造の候補)が生成されました。これは量子ビット数でも論理量子ビット数でもなく、実機で同時実行したわけでもありません。候補は、物理基盤へmappingでき、量子誤り訂正を通過し、計算として生き残る必要があります。
mapping効率の3つのscenario(1%、2%、5%)と、公開QECデータから導入した survival proxy を適用すると、fault-tolerantly surviving EXEC capacity は約73.9万〜369.5万となりました。参照基盤は105 physical qubitsのままです。これは「105量子ビットで100万量子ビット級を実現した」という主張ではなく、同じ物理基盤から取り出せる実行可能性を評価した結果です。
さらにNHOEGでは、計算に伴う熱・散逸・冷却・物理的完了時間といった、計算の物理的コストも同時に扱います。従来の「速く計算すれば熱が増える」という一次元のトレードオフに固定されるのではなく、実行幾何学、Runtimeでの再構成、誤り訂正の生存率、Residualの再利用、熱力学的コスト、そして処理時間を、同じ最適化空間の変数として扱います。つまり、有限の量子基盤から、物理的に成立し、誤り訂正後にも生き残り、熱力学的にも閉じたexecution capacityをどこまで引き出せるのかを問うのがNHOEGです。
量子ビット数を増やす研究と、同じ物理基盤から取り出せる実行可能性を増やす研究は、競合ではなく補完関係にあります。NHOEGは、量子計算の能力を「量子ビット数」ではなく「実行幾何学」と「熱を含む物理的制約」の両面から再定義する、新しい視点を提供します。

未公開論文に含まれるコア技術がもたらす拡張結果は以下の通りです。
NHOEG‑1(1,278ページ)とNHOEG‑2(772ページ)は、合計2,050ページに及ぶ統合的コーパスを形成しており、安全保障上および知的財産権の観点から公開を控えている続編理論(約1,800ページ)をあわせますと、計算機の実行幾何に関する単著としては世界的にも類例の少ない規模となっております。 その後の未公開研究においては、実行幾何に基づくベンチマークが、HPL標準条件下で既存の世界最速級スーパーコンピュータ、GPUサーバー、量子プロセッサの性能を繰り返し上回る結果が得られております。多くのケースで桁違いの性能向上が確認され、最も保守的な条件下でも大幅な改善が安定して導出されております。
本論文は 中島 賢(Ken Nakashima) による単著です。詳しくは、Ken理論の論文ページをご覧ください。
